「AIで月100本」が、会社を静かに殺していきます。誰も言わない、生成AIコンテンツ量産の裏側
【更新日】 2026年8月10日(月) ウェブマーケティング ITリテラシー関連
「AIで月100本」が、会社を静かに殺していきます。

10分の1になったのは、いったい何だったのでしょうか

「生成AIを使えば、記事を作るコストが10分の1になります」

この言葉を、私はここ数年で何百回聞いたかわかりません。嘘ではありません。ただ、正確でもありません。正しく言い直すと、こうなります。

生成AIを使えば、世に出す価値のない文章を作るコストが10分の1になります。

安くなったのは、文章を作る工程だけです。作ったあとに確かめる工程は、一円も安くなっていません。書いてある事実は本当か。数字の出どころはどこか。法律に触れる言い回しが混じっていないか。そして何より、これを自社の名前で世に出していいのか。この確認作業は、AIが来る前と後で、まったく変わっていません。むしろ、どこから来たのかわからない文章が大量に流れ込んでくるぶん、確かめる側の負担は増えています。

それなのに、多くの中小企業の会議室では、こんな会話が交わされています。

「今月、AIで記事を42本アップしました」 「おお、先月の3倍だな。いいね、その調子で」

誰も、その42本を読んでいません。担当者すら通して読んでいません。決裁した社長は見出しだけ見ました。そして半年後、アクセスは伸びず、問い合わせは1件も増えず、「AIは使えなかった」という結論で終わります。

違うと思います。使えなかったのはAIではありません。その会社が、もともと文章で何かを伝える体質になっていなかっただけです。AIは、それをものすごい速さで表に出しただけでした。

この記事では、生成AIの仕組みの説明も、うまい指示の出し方も書きません。書くのは、なぜこのやり方がこれほど広まったのか、誰が儲けているのか、発注する社長が本当は何を求めているのか、失敗する会社に足りないのは知識ではなく何なのか、そして最後に、会社の品を保ったまま成果を出す手順です。

目次

なぜ「AIで記事を量産」が、これほど広まったのでしょうか

制作会社の原価が崩れたのに、値段は下がりませんでした

これが、いちばん生々しい話になります。

数年前まで、検索で上位に出すための記事、いわゆる集客記事の外注相場は、1本3万円から8万円くらいでした。中身は、書き手への原稿料と、進行管理と、校正の費用です。制作会社の手元に残るお金は、良くて売上の3割から4割ほど。決して美味しい商売ではありませんでした。

そこに生成AIが来ました。原価が、ほとんどゼロに近づきました。

ここで各社が取った選択は、商売としてはきわめて当たり前のものでした。値段を下げなかったのです。「AIを活用して効率化しました」とは言います。ただ、提案書に書かれた金額は3万円のまま、あるいは「AI活用プラン」という名前で2万円に値下げされます。原価500円のものを、です。

売上のほとんどが利益として残る商売が、一夜にして生まれました。この2、3年で集客支援の会社やホームページ制作会社が一斉に「AIでの記事量産」を売り始めた理由は、ここにあります。検索エンジンの仕組みが変わったからでも、お客様の行動が変わったからでもありません。自分たちの儲けの構造が変わったからです。

そして、この商売のかたち上、本数が多いほど彼らは儲かります。だから提案は必ず「月20本」「月50本」になります。「月2本を、社長への取材をもとに丁寧に」という提案は、彼らにとって儲からないので、まず出てきません。

念のため申し上げますが、私はこれを悪いことだと言っているのではありません。会社として当然の行動です。問題は、発注する側がこの仕組みを知らないまま、相手の儲けが最大になる本数を、自社の目標として受け入れてしまっている点にあります。

道具を売る会社は、あなたにたくさん書かせたいのです

文章を作るための有料サービスの料金表を見てみてください。ほぼ例外なく、作った文字数や記事の本数によって料金が上がる仕組みになっています。

つまり、彼らの毎月の売上は、あなたがたくさん作るほど増えます。あなたの記事が読まれたかどうか、商談につながったかどうかは、彼らの売上に一切関係しません。

だから宣伝文句は「1記事3分で完成」「月100記事も夢じゃない」になります。「本当は月3本で十分ですよ」と言う道具屋さんは、仕組みのうえで存在できません。

一番儲かっているのは、教えている人かもしれません

「AIで月間100万アクセスを達成した方法」を教える講座があります。「生成AI活用で問い合わせ5倍」というセミナーもあります。

ここで確かめてほしいことは、ひとつだけです。その人の主な収入源は、何でしょうか。

AI活用で成果を出した実績を売り物にしている人の収入の大半が、AI活用を教えることそのものから来ている場合は、率直に申し上げて非常に多いです。昔から言われることですが、金鉱掘りの時代に確実に儲かったのは、金を掘った人ではなく、掘る道具を売った人でした。

見分け方は簡単です。「そのやり方で、AIと関係ない事業をやっている会社が出した成果を、会社名と数字で教えてもらえますか」と聞いてみてください。ここで言葉を濁す相手は、そういう相手です。

検索する場所そのものが、変わり始めています

検索したときに、AIがまとめた答えが最初に表示されるようになりました。これで、状況が根本から変わりました。

あなたが手間をかけて書いた記事は、そのまとめを作るための材料になります。検索した人はまとめを読んで納得し、あなたのサイトには来ません。文章は提供させられるのに、お客様は返ってこない。こういう、割に合わない関係が生まれてきます。

この状況で「量で勝負する」という戦略を取るとどうなるか。まとめを作るための材料を、より多く、無料で納品する契約に、自分から署名していることになります。

では、損をしているのは誰でしょうか

まず、発注した社長です。制作費を払い、社内の時間を使い、半年後に「効果がなかった」と結論します。この半年、他のことに使えたはずの時間と労力を思えば、失ったものは支払った制作費よりはるかに大きくなります。

次に、書くことを仕事にしてきた人たちです。単価が崩れました。かつて1本3万円で書いていた書き手が、「AIが書いた原稿の手直し、1本5000円で」と打診されます。ちゃんとしたものを書ける人から順に、この業界から抜けていきます。

そして最後に、読む人、つまりあなたの見込み客です。検索しても、同じことしか書いていない記事が10件並びます。その人たちは検索そのものを信用しなくなり、知人の紹介や、AIとの対話へ移っていきます。あなたがお客様と出会う道すじが、細くなっていきます。
 

経営者が、本当に求めているもの

経営者が、本当に求めているものここからは、社長ご自身の話をします。
耳が痛いところがあるかもしれませんが、私はこの気持ちを否定するために書いているのではありません。
この欲求は、向ける先さえ正しければ、とても強い燃料になるからです。

記事を、在庫のように数えたいのです

ものづくりの現場を経験してきた社長ほど、この傾向が強く出ます。
記事の本数は、在庫の数のように数えられます。
倉庫に製品が積み上がっていくのを見ると安心するのと同じで、ホームページの記事一覧が増えていくのを見ると安心できます。

ただ、記事は在庫ではありません。
在庫は置いておくだけならそれほど傷みませんが、記事は公開した瞬間から、会社の評判に働きかけ続けます。
中身の薄い記事100本は、資産ではなく借金です。
しかも、サイト全体の評価という形で、せっかく書いた良い記事の足まで引っ張ります。
 

会議で見せられる数字が、ほしいのです

今月の取り組みを報告させたとき、「じっくり1本書いています」と言われるより、「12本アップしました」と言われるほうが、前に進んでいる感じがします。
役員会でも説明しやすく、銀行にも見せやすくなります。

数えやすい数字は、麻薬のようなものです。
数えやすいものを数えているうちに、数えやすいことのほうが目的になっていきます。
これは、どんな会社でも起きることです。
 

「うちもAI、やってます」と言いたいのです

これがいちばん大きい会社も、たくさんあると思います。
同業の集まりで、取引先との会食で、採用の面接で、「AI導入されてます?」と聞かれたときに「いや、まだです」とは言いたくありません。
息子さんや若い社員に「うちの会社は遅れている」と思われたくもありません。

この見栄を、私は否定しません。
社長の見栄は、投資を決める最後のひと押しになる、健全な動機だと思っています。
問題は、その見栄が「導入したこと」だけで満たされてしまう点にあります。
導入した時点で気持ちが満たされるので、そこから先の使い方を考える熱が、急に冷めてしまうのです。
 

競合が月20本出していると、怖いのです

まわりに合わせないと不安になる気持ち。
これも本物です。

ただ、ここでひとつだけ、冷静に確かめてほしいことがあります。

その競合は、それで本当に受注が増えているのでしょうか。

私が見てきた範囲で申し上げると、競合の量産を怖がって同じことをした会社の8割ほどは、それをせずに自社の実体験だけで戦った会社に、2年後には負けています。
理由はこのあと書きます。
 

この気持ちは、消さなくて構いません

欲求そのものを殺す必要はありません。向ける先を変えれば済む話です。

本数を数えたいなら、数える対象を変えます。
AIをやっていると言いたいなら、言える中身を変えます。
具体的なやり方は、この記事の後半で書きます。
まずは、なぜ失敗するのかを片づけておきます。

 

失敗する会社に足りないのは、知識ではありません

失敗する会社に足りないのは、知識ではありません

生成AIの活用がうまくいかない会社で、AIへの指示の出し方が下手だったことが原因だった例を、私はほとんど見たことがありません。
原因はいつも、もっと手前にあります。
 

最後に責任を持つ人が、いなくなりました

AIが来る前、記事には「書いた人」がいました。
書いた人は、その中身に責任を感じていました。

AIが来たあと、書いた人が消えました。
すると、承認の手続きだけが残って、責任を負う人がいなくなります。
部長が承認します。
ただ、部長は「AIが書いたのだから、大きな間違いはないだろう」と思って読んでいます。
社長も同じことを思って、見出しだけ見ています。

全員が「誰かが確認しているはずだ」と思っている状態で、誰も確認していません。

これで事故が起きます。
競合他社の名前を出した、事実と違う比較記事。
存在しない調査データ。
法律に触れる効き目の表現。実在しないお客様の導入事例。
どれも私が実際に見てきたものです。
そして事故が起きたとき、誰も自分の責任だと思っていないので、再発防止策が「確認リストを作る」で終わってしまいます。

当然、また起きます。
 

自社にしかない材料がないと、平均点の文章しか出てきません

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

生成AIは、何もないところから何かを生み出す道具ではありません。
すでにある情報を、速く、整った形に広げる道具です。

ですから、手元に何の材料もない会社がAIを使うと、出てくるのはインターネット上のどこにでもある平均点の文章になります。
平均点は、そういうものである以上、誰の記憶にも残りません。

逆に言うと、中小企業ほど、実はとんでもなく有利な材料を持っています。

過去5年分の見積書と、なぜ受注できなかったかを書いたメモ。
クレーム対応の記録と、そのとき現場が下した判断。
営業がお客様から実際に聞かれた質問、それも同じ質問が年に何十回も来ているはずです。

施工現場の写真、うまくいかなかった現場の写真。
職人さんや技術者が持っている「これをやると後で必ず困る」という勘どころ。
社長が創業以来ずっと断り続けている仕事の種類と、その理由。

これらは、この世界であなたの会社にしか存在しない材料です。
そして、AIはこれを整えて広げることが、とても得意です。

たとえば、受注できなかった理由のメモを50件分AIに渡して、共通する型を抜き出させます。
そこに、社長が話した自社の考えを足していきます。
こうしてできあがった記事は、世界中のどのAIにも作れません。
元の材料を持っているのが、あなただけだからです。

やるべきなのは、AIに書かせることではありません。
自社にしかない材料を、AIが扱える形にして掘り出すことです。
ここに気づいている中小企業は、驚くほど少ないのが実情です。
 

作る速さだけが上がると、確かめる工程が省かれます

さきほど触れたことを、もう一度、仕組みとして書きます。

作るコストは100分の1になりました。
確かめるコストは、ほとんど変わっていません。

すると、途中の工程が詰まります。
月に50本作れるのに、事実確認ができるのは月に5本。
この状態が2か月も続くと、組織は必ずこう判断します。

そんなに厳密に確認しなくても、いいんじゃないか。

これが事故の瞬間です。
恐ろしいのは、これがはっきりとした決定として行われないことです。
誰も「確認をやめよう」とは言いません。
ただ、なんとなく確認が甘くなっていきます。締切に追われて。
本数の目標があるから。

つまり、本数の目標を立てた時点で、この結末はほぼ決まっています。
 

体験していないことを、体験したように書く誘惑

検索の評価では、実際に体験した人が書いた情報が重く見られます。
これを知った会社が次にやることは、だいたい決まっています。

体験していないことを、体験したように書かせるのです。

「実際に使ってみました」「担当の私が現場で感じたのは」「お客様のA様からはこんな声をいただきました」。
実在しない体験、実在しない担当者、実在しないお客様。

技術的には、なかなか見抜かれません。
少なくとも短いあいだは。

ただ、私がこれを止める理由は、検索エンジンに見抜かれるからではありません。

その原稿を承認した瞬間、あなたの会社は「事実でないことを、事実のように書いてもいい会社」になるからです。

そしてこの基準は、必ず他のところへ漏れます。
営業資料の実績数字。採用ページの社員の声。
品質の報告書。
会社の誠実さの基準は、一度下げると、もう元には戻りません。

これは道徳の話であると同時に、きわめて実務的な、危機管理の話でもあります。
 

社員が、文章を作業だと思うようになります

誰も読まない記事を毎月出し続けると、担当した社員は必ずこう学びます。

これは、出すこと自体が目的の作業なのだ。

一度そう思い込むと、その社員は二度と、心を込めた文章を書きません。
書く意味がないと理解してしまったからです。

あなたが失うのは、記事の質ではありません。
社員が仕事に対して持っている基準そのものです。
そしてこれは、その人が担当する他のすべての仕事にうつっていきます。
 

小手先の話の前に、通しておきたい物差し

小手先の話の前に、通しておきたい物差し

判断に迷ったとき、これ以上に役に立つ物差しを、私は知りません。三つあります。
 

印刷して、明日の商談でお客様に手渡せますか

とても単純ですが、恐ろしいほどよく機能します。

「参考までに、うちの考え方をまとめたものです」と言って、印刷して渡せるでしょうか。
渡した相手が読んで、「なるほど、この会社はよく分かっているな」と思ってくれるでしょうか。

渡せないものを、なぜインターネットには出せるのでしょうか。
画面の向こうにいるのは、明日の商談相手と同じ人間です。
 

その言い回しは、自社をどんな会社だと決めているでしょうか

「知らないと9割の人が損しています」
「今すぐやめてください」
「業界の常識が覆ります」

こういう見出しは、たしかにクリックされます。
短い期間なら数字も上がります。
ただ同時に、あなたの会社は「そういう言い方をする会社」として覚えられます。

見ているのは、お客様だけではありません。
取引先も見ています。
銀行も見ています。
採用に応募しようとしている人も、その親御さんも見ています。

優秀な人ほど、会社の言葉づかいに敏感です。
煽る見出しが並ぶホームページを見て、この会社で働きたいと思う技術者は、まずいません。

煽りというのは、その場の売上を借金しているようなものです。
利息は、会社としての信用で払うことになります。
 

AIっぽさは、お客様への態度として伝わります

読む人は、AIが書いた文章をかなりの精度で感じ取れるようになりました。
整いすぎた構成、どこかで読んだ言い回し、具体的なものが何ひとつ出てこない一般論、当たり障りのない結論。

そのとき読む人が受け取るのは、「AIを使っているな」ではありません。

この会社は、自分に対して時間を使う気がないのだな、ということです。

これは、価格よりも強く効いてしまいます。
高額な商品、専門性の高いサービス、法人向けの取引、地域に根ざした商売では、とくに致命的になります。
安く見えることの損失は、安さで得た分をたやすく上回ります。
 

会社の品を保ったまま、成果を出す四つの工程

ここからは実務の話です。
私が実際にお客様の会社に入れている手順を書きます。

考え方の軸はひとつだけです。
AIを書き手にせず、聞き役と、整理役として使います。

ひとつめ。
材料を集めます。

これは人が行います。
社長や現場のベテランに、30分から1時間、そのテーマについて話してもらいます。
上手に話す必要はまったくありません。
「先週の失注、なんで負けたと思います」「この工法、他社がやりたがらないのはなぜですか」と聞いて、録音するだけで十分です。

見積書、クレームの記録、よくある質問、営業日報を集めるのでも構いません。
この工程だけは、絶対にAIに任せないでください。ここだけが、他社と違う部分だからです。

ふたつめ。
整理します。

ここはAIの出番です。
録音を文字にしたものを渡して、論点を抜き出させ、順番を組み立てさせ、重複を整理させ、読む人が抱きそうな疑問を先回りさせます。
ここはAIのほうが人間より圧倒的に速く、正確です。
AIのいちばん価値ある使い方は、書くことではなく、整理することにあります。

みっつめ。
固有名詞と数字を、人が入れます。

AIが書いた「多くのお客様が」を、「今年に入って14社から同じ質問をいただきました」に書き換えます。
「効果的です」を、「弊社の場合、見積を出してから受注までの日数が、平均18日から11日になりました」に書き換えます。
この工程が、記事の価値の8割を作ります。

よっつめ。
名前を出します。
記事の最後に、責任者の本名と、顔写真と、肩書きを入れます。
この内容については私が責任を持ちます、という意思表示です。

この四つめが、実はいちばん強い品質管理の仕組みになります。
本名を出せない記事は、その時点で、出す価値がないとわかるからです。
確認リストを100項目作るより、本名を書く欄を1つ作るほうが、質は上がります。

そして自然に、本数はちょうどいいところに落ち着いていきます。
 

数える対象を、置き換えてください

前半に書いた「数えたい」という欲求を、ここで回収します。

数えるのをやめてほしいのは、公開した記事の本数、アクセス数の合計、作った文字数、検索順位、導入した道具の数です。

代わりに数えてほしいのは、自社にしかない実体験が入った記事の本数、商談や見積依頼につながった記事の本数、営業担当が商談で実際に使った記事の本数、「記事を読みました」と言って来た問い合わせの件数、そして、社内から現場の知恵を出してくれた社員の人数です。

とくに最後のひとつが大切です。

今月は現場から5人が知恵を出してくれた、という数字を追いかけると、会社が自分たちの持っている経験を掘り起こす体質になっていきます。
これは、記事以外のあらゆる仕事に効いてきます。
AIに投じたお金のいちばん大きな見返りは、実はここにあります。

そして「うちもAIをやっている」と言いたい気持ちは、こう言えば十分に満たされます。

うちは、35年分の現場の判断基準をAIで整理して、社外にも社内にも使える形にしています。

これは、月100本の記事を出しているどの会社より、はるかに格好いいはずです。
しかも、嘘がありません。
 

結局のところ、どんな覚悟を持つべきなのでしょうか

最後に、きれいごとではない話をして終わります。

生成AIは、あなたの会社を良くも悪くもしません。
あなたの会社がもともとどういう会社なのかを、100倍の速さと量で世間に見せる道具です。

伝えたいことがある会社は、それを100倍速く届けられるようになりました。
伝えたいことが何もない会社は、何もないことを100倍の量で公開することになりました。

この数年で起きているのは、能力の差が広がったことではありません。
姿勢の差が、見えるようになっただけでした。

ですから、社長が持つべき覚悟は、AIへの指示の出し方でも、どの道具を選ぶかでもありません。
ふたつだけです。

ひとつめは、自社はこの分野について何を知っていて、何を知らないのかを、正直に棚卸しする覚悟です。

知らないことは、書きません。
AIに書かせれば書けてしまうからこそ、書かないという判断ができるかどうかが、これからの差になります。
書けることと、書いていいことは、違います。

ふたつめは、出すものすべてに自分の名前を置く覚悟です。
「AIが書いたので」という言い訳は、この世のどこにも存在しません。
公開した瞬間、それは100パーセント、あなたの会社の発言になります。
それを引き受けられないなら、出さないという選択肢しかありません。

そして最後に、美意識の話をします。

速く出すことは、もう誰にでもできます。
差がつきません。
これから差がつくのは、その名前で、それを出すかどうかという判断だけです。

出せるものは無限に増えました。だからこそ、何を出さないかが、その会社の品になります。

安売りしません。
煽りません。
盛りません。
知らないことは知らないと書きます。

分からないことは、分かりませんと書いたうえで、ただし我々はこう考えます、と続けます。

一見、遠回りに見えると思います。実際、最初の半年は、本数の多い競合に数字で負けます。

ただ、2年経つとこうなります。

量産した会社は「どこかで読んだ話をしている会社」になり、自分の経験で書いた会社は「あそこに聞けば分かる会社」になります。

問い合わせの中身が変わります。
値引き交渉の回数が減ります。
採用に応募してくる人の質が上がります。
そして何より、社員が自分の仕事を誇れるようになります。

AIの時代に社長が守るべきものは、生産性ではありません。
この会社の名前で出すからには、これでいい、と自分が言い切れる基準です。

その基準を、誰も見ていないところで下げないこと。それだけが、この先10年の差になります。