「技術には自信がある。品質だって、中国製の安物には絶対に負けない」
それなのに、なぜ見積もりを出すたびに「高い」と言われるのでしょうか?
なぜ、長年の付き合いがある取引先から「今回は他社にお願いするよ」と言われてしまうのでしょうか?
もし今、社長が「売上がジリ貧だ」「先が見えない」と夜も眠れない日々を過ごしているなら、どうか5分だけ時間をください。
この記事に書いてあるのは、難しい経営理論ではありません。
従業員数名の町工場でも実践できる、大手や海外勢と戦わずに「高利益」を生み出すための、具体的な「生き残り戦略」です。

正直に申し上げます。
日本の製造業が苦しんでいる最大の原因は、「モノ(製品)だけを売ろうとしているから」です。
「メーカーなんだから当たり前だろう!」と怒らないでください。
ここが運命の分かれ道なのです。
お客さん(発注側)の立場になって考えてみてください。
彼らが本当に欲しいのは、あなたの作った「高性能な機械」や「精密な部品」そのものでしょうか?
違います。
彼らが欲しいのは、その製品を使った先にある「利益」や「安心」です。
機械が欲しいのではなく、「ラインを止めずに生産し続けたい」。
部品が欲しいのではなく、「不良品による手戻りやクレームを無くしたい」。
それなのに、多くの企業は「性能」や「スペック」ばかりをアピールし、納品したら「あとは御社でうまくやってください」と手を離してしまいます。
これでは、お客さんは「価格」でしかあなたを評価できません。
結果、待っているのは終わりのない値引き合戦です。

この状況をひっくり返す魔法のような考え方があります。
コンサルタントはこれを「コト売り」と呼びますが、現場の言葉に直せばもっと単純です。
「お客さんが嫌がる『面倒くさい』を、ウチが全部引き受けますよ」と言ってあげること。
これだけで、価格競争は消滅します。
イメージが湧きやすいように、ある架空の装置メーカーを例にした「シミュレーション」を見てみましょう。
もし、あなたの会社が以下のようなモデル転換をしたら、経営はどう変わるでしょうか?
従業員30名ほどの、ある洗浄装置メーカーがあったとします。
以前は「1台300万円」で装置を売っていました。
しかし、景気の波で注文は激減。「高い」と言われ、利益を削って値引きする苦しい毎日です。
そこで、社長はイチかバチか、売り方をガラリと変えました。
| 比較項 | 【以前】モノ売り(売り切り型) | 【変更後】コト売り(サブスク型) |
| 提供価格 | 本体価格 300万円 | 初期費用 0円 |
| 契約形態 | 販売して終了 | 5年間の保守・運用契約 |
| 提供価値 | 「装置」そのもの | 「ラインが止まらない安心」 |
| 顧客のメリット | 特になし(所有リスクあり) | 管理丸投げ・初期投資なし・稟議が楽 |
| 自社の売上 | 単発 300万円(不安定) | 総額 600万円(毎月安定収入) |
つまり、「洗浄機」ではなく、「絶対に止まらず、常に綺麗に洗える環境」を売ったのです。
お客さんにとって、洗浄液の在庫管理や故障の手配は「面倒くさい作業」です。
それをメーカーが代行するのです。
いわゆる、リース契約に持ち込んでみるということです。
例では、600万円にしていますが、この場合、月額10万円になります。
※価格設定は、熟慮して決定してください。
これは、不可能ではありません。
むしろ、お客様目線からの発想だと思いませんか?

導入のハードルが消える
初期費用が0円(または格安)なら、お客さんは稟議を通しやすくなります。
「とりあえず試してみよう」と導入が決まります。
売上が「積み上げ式」になる
毎月決まった金額(例えば月額15万円)が入ってきます。
5年契約なら、トータル売上は900万円。
単発売りの3倍です。毎月の入金が読めるので、資金繰りの不安が消えます。
ライバルがいなくなる
一度契約してしまえば、他社が入り込む隙間はありません。
お客さんは「管理の手間」から解放されているので、わざわざ他社に乗り換えようとはしません。
※これは分かりやすくするためのモデルケースですが、実際に「蛍光灯の販売」をやめて「明るさの保証(LEDレンタル)」で成功した事例や、「コンプレッサーの販売」から「圧縮空気の供給サービス」へ転換してV字回復した中小企業の事例は、現実にいくつも存在します。
「それは完成品メーカーの話だろう。ウチのような部品加工の下請けには関係ない」
そう諦めかけていませんか?
いいえ、部品メーカーこそチャンスです。
発注元の大手企業も、実は困っています。
「在庫管理が面倒だ」
「発注漏れでラインが止まるのが怖い」
「図面の管理が煩雑だ」
例えば、ただ図面通りに部品を作って納めるだけでなく、 「御社の在庫を当社が遠隔で監視し、減ってきたら自動で補充しますよ(その代わり単価は維持させてください)」 という提案ができたらどうでしょうか?
担当者は「在庫切れの責任」というストレスから解放されます。
その「安心」を買ってもらうのです。
それができれば、あなたはもう「単なる下請け」ではなく、「なくてはならないパートナー」になれます。

ここまで読んで、「理屈はわかった。でも、ウチの会社で具体的に何をすればいいんだ?」と思われたかもしれません。
ウチの商品の「面倒くさい」って何だ?
月額いくらに設定すれば損しないんだ?
契約書はどうすればいい?
これらを、忙しい社長お一人で考える必要はありません。
間違ったやり方で進めると、かえって赤字になるリスクもあります。
だからこそ、プロの知恵を使ってください。
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